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言語に関するおすすめTED「言語はいかに我々の考えを形作るのか」

今回は言語に関する興味深いTEDをご紹介します。語学を勉強する人にはもちろん、特に語学を勉強していない人にも関係する話題です。

TEDの魅力は英語の勉強ができる他に、専門学者やその道のプロフェッショナル、著名人の質の高いプレゼンテーションを無料で、しかも動画で見られることです。 

今回ご紹介するのは 認知科学者のレラ・ボロディツキー(Lera Boroditsky)さん。

TEDWoman 2017 で行われたもので、タイトルは "How language shapes the way we think" 邦題「言語はいかに我々の考えを形作るのか」です。

画像を使って説明しているので、ぜひ動画もご覧ください。

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How language shapes the way we think「言語はいかに我々の考えを形作るのか」の要約

 

www.ted.com

 

全ての文章のトランスクリプトはこちらで見られます。

https://www.ted.com/talks/lera_boroditsky_how_language_shapes_the_way_we_think/transcript

 

 

 

言葉は人の思考に関係しているのか

 

言葉は人間の持つ不思議な能力のひとつです。
言葉で自分の考えを伝えることができます。

世界では約7,000もの言語が使われていて、しかもそれぞれの言語の音・語彙・構造が異なります。

 

『話す言語は考え方に影響するのか?』

これは古くからある疑問で、何千年にも渡って、近年まで正確な答えとなるデータは出ていません。

しかし最近ではこの答えとなる科学的なデータの研究結果が出てきているので、いくつか例を紹介します。

 

神聖ローマ帝国の皇帝、シャルルマーニュのことば

"To have a second language is to have a second soul" 

(第2の言語を持つのは 第2の魂を持つことである)

 

シェークスピアロミオとジュリエット』ジュリエットのセリフ

"What's in a name? A rose by any other name would smell as sweet." 

(名前が何だというの? バラは別の名前で呼ぼうと変わらずいい香りがするでしょう) 

 

例①左右を方位で表す民族

 

まずはオーストラリアの先住民、クウク・サアヨッレ族の人々の例です。

 

クウク・サアヨッレ語では「右・左」という言葉を使わず、代わりに「東西南北」の方角で言い表します。

 

例えば「あら、南西の脚にアリがいるわよ。」とか、

挨拶では「どちらの方に行くの?」「ちょっと北北東の方へ あなたは?」なんて言うのです。

 

会う人会う人に自分の向かう方角を言っていれば、方角に強くなりますよね。

 

生物学的な理由で人間は他の動物と比べて、くちばしやウロコに磁石がないため、方角に弱いと思われていました。

 

それでも、言葉や文化によって強くもなるのです。

 

"Which way are you going?"  

(どちらの方に行くの?)

 

"North-northeast in the far distance. How about you?"

(ちょっと北北東の方へ あなたは?)

 

例②時間の考え方の違い

 

 

年代別の写真を時間順に並べてと言ったら、英語話者はだいたい左から右に並べます。

 

これは書く向きにもよります。ヘブライ語アラビア語の話者なら右から並べるかもしれません。

 

先ほど話したクウク・サアヨッレ人ならどうするでしょう。

 

彼らの場合、南を向いている時は左から右へ並べ、北に向いている時は右から左、東を向いている時は向こうから手前へと並べます。

 

つまり東から西に並べるのです。彼らは時間の向きを大地に対応しているのです。

からだの向きによって時間の向きも変わります。

 

例③数の数え方の違い

 

写真に写っているペンギンの数を数えてみてください。

「1,2,3・・・」と数えて、最後の数字がペンギンの数になります。

これは子供の頃に教わった方法です。数について教わり、その使い方を学びました。

 

しかし言語によってはこのような数え方ができません。正確な数を表す言葉がない言語もあるのです。

そのような言語話者は、正確な量の把握が苦手です。

 

例④色の見分け方

 

言語によって色の認識も違います。

色を表す言葉がたくさんある言語もあれば、「薄い・濃い」のような少ない言葉しかない言語もあります。

 

例えば、英語では薄い色の青から濃い色の青までを全て "blue" と表しますが、ロシア語ではひとつの統一された言葉はなく、薄い青は "goluboy"、濃い青は "siniy" と、言い分けます。

 

色の区別をするテストをすると、ロシア語話者は青の濃さの違いを素早く見分けます。

 

色を見ている時の脳を観察してみます。すると薄い青から濃い青へとゆっくり変化する時に何かが切り替わったことに気付き、驚きの反応が見られます。

 

しかし英語話者に同じ実験をしても驚きの反応は見られません。切り替わったことを認識していないからです。

 

例⑤名詞の性別による感覚の違い

 

文法上の性がある言語があります。それぞれの名詞に男性女性か割り当てられるのです。どちらの性別かは言語により異なります。

 

例えば太陽はドイツ語では女性形、スペイン語では男性形。月はその逆です。

これはドイツ語話者にとって太陽を女性的なものであり、月を男性的なものとして見ることに影響しています。

 

「橋」はドイツ語では女性名詞、スペイン語では男性名詞。ドイツ語話者は「橋」を説明する時に「美しい」「優雅」などの女性的な言葉を使う傾向がある一方、スペイン語話者は「力強い」「長い」などの男性的な言葉を使う傾向があります。

 

 

例⑥出来事の言い方の違い

 

言語では出来事の言い表し方の違いもあります。

 

例えば、ちょっとした事故で美術館の壺を壊してしまった時、英語では「彼が壺を壊した。」と言いますが、スペイン語では「壺が壊れた。」という言い方をします。事故だった場合、「誰がやった」とは言わないのです。

 

英語では "I broke my arm" (私は自分の腕を折った。)と言うことさえあります。

多くの言語でこのような言い方は、自分の腕を折ろうと試みて、それに成功した時に言う表現でしょう。事故の場合は別の言い方をします。

 

同じ事故でも英語話者は誰がやったかをよく覚えていて、スペイン語話者は「事故だった」ということをよく覚えています。誰がやったかはあまり覚えていないでしょう。意図的かどうかという点を覚えているのです。

 

これは2人の人が同じ出来事や犯罪を目撃しても、記憶している内容が違うものになることを意味します。責任や罰にも影響されてしまいます。

 

 

最後に

 

言語が人の考え方にどう影響するかをご紹介しました。

 

時間や空間のとらえ方、数への概念、色の例で見た知覚的判断、文法的な性の違いによる影響、そして事故が起こった時、何に重点を置くかも重要な点となります。

  

世界には約7,000の言語がありますが、残念なことに、現在では週に1つずつ言語が失われていて、今後100年間で世界の言語の半分が失われると考えられています。

 

さらに問題は、現在の人の心や脳についての多くが、英語話者であるアメリカ人の学生を被験者にした研究に基づいている点です。

 

その結果は実際に狭く偏ったものとなり、今後は改善していく必要があります。

 

言語によって考え方が変わるという話しでしたが、大事なのは他の人がどう考えるかではなく、自分がどう考えるかということです。

 

「なぜ自分はこのように考えるのか?」

「どうすれば違った考え方ができるか?」

「どんな考えを生み出したいか?」

 

これを自問する機会になるでしょう。

 

バイリンガルはどうなるの?という疑問


この TED を見て、バイリンガルはどうなるのかという疑問を持った人もいると思います。

 

少し調べてみると、例えば英語と日本語のバイリンガルであれば、英語と日本語を話す時では思考が変化することが実験で明らかになっているようです。

 

身振りも英語と日本語を話す時では変わってきます。

 

英語を話す時になると、人格が変わったように積極的になる人を見たことありませんか?もしかすると自分がそうかもしれませんね。

 

周りの英語を話す人、あるいは自分自身をじっくり観察してみると何かに気付くことがあるかもしれません。

 

まとめ 

 

自分とは違う言語話者との会話で、相手との意見の相違があった時、 相手の言語背景も考えてみるといいでしょう。

 

最後の話しにあったように、自分の意見を問いただしてみることも大切です。客観的になって「自分はなぜこう考えるのか」を考えてみます。それは言語による思考から生まれた考えかもしれません。

 

言語を勉強するということは、その国の文化・思考を学ぶことにもなります。それによって自分の視野が広くなることは、語学を学ぶ大きなメリットのひとつになると思います。

 

 

 

 

 

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