英語の学習教材としてNHKの語学ラジオ講座は低コストで始められる他、質の高い講座が揃っていて大変便利です。
何度かこのブログにも書いていますが、自分のメインで聞く講座を1つか2つに絞って徹底的に勉強することをおすすめします。
私が今、メインで聴いている講座は『ラジオ英会話』と『高校生から始める「現代英語」』の2つです。
今日はそのひとつ、『高校生から始める「現代英語」』について解説します。どうぞ参考になさってください。
もくじ
『高校生から始める「現代英語」』とは
はじめにひとつ言っておきたいのは、このブログのタイトル『30歳から始める英語学習』はこの講座にちなんで付けたものではありません。
たまたま思いつきでつけたタイトルでしたが、無意識にこの講座タイトルに影響されていたのかもしれません。タイトルが似ていることに気付いたのは最近です。
『高校生から始める「現代英語」』が始まったのも日は浅く、2017年4月8日から放送が開始されました。
『高校生から始める「現代英語」』はもちろん高校生ではなくても始められます。このブログももちろん30歳からではなくても購読できます!
講座のコンセプト
講座のコンセプトは、NHKゴガク公式サイトに書かれているものを引用します。
“現代の世界で実際に使われている英語”(=現代英語)への入門講座。高校生レベルの表現で書かれた英語ニュースを教材に、「聞く・読む・話す・書く」の4技能を伸ばします。高校生から大学生、社会人まで、すべての年代の人が対象です。
現代英語とは
この番組で「現代英語」とは、現代の世界で実際に使われている英語を定義しています。
学校で習う表現や文法は基本となりますが、現実の世界で英語は、様々な形に変化して使われています。
実際に使われている英語表現をニュースを通して、実際に使える英語を学べます。
放送時間
週に2回、1回15分のラジオ番組です。
・木、金曜日
午後10:00~10:15
【再放送】
・土、日曜日
午後0:40~0:55
・土曜日
午後4:30~5:00(2回分)
・日曜日
午後10:00~10:30(2回分)
・翌週木・金曜日
午後3:45~4:00
出演者
講師:伊藤サム
群馬県生まれ。日系2世の息子として生まれる。
高校時代に米国ミシガン州に、大学時代にロンドン大学に留学。
大学卒業後、英字新聞社ジャパンタイムズに入社、報道部を担当。最終的には「ジャパンタイムズ」編集局長に就任。
現在はバイリンガル・ジャーナリストとして多数のメディアで活躍中です。
2009年NHK講座「ニュースで英会話」でも講師を務めていました。
「サム」の名は、高校時代に行った留学先での愛称です。本名は伊藤信司。
パートナー:ハンナ・グレース(Hannah Grace)
アメリカ・ケンタッキー州出身。大学時代は演劇と歌唱を専攻。
現在は俳優、声優、シンガーとして活躍中です。NHK連続テレビ小説「花子とアン」に出演したことで幅広く知られるようになりました。
語学教材のナレーションにも数多く携わっています。
英文ナレーション
ビル・サリバン(Bill Sullivan)
アメリカ、ロサンゼルス出身。1993年に来日し、NHK、NHKワールドで数多くのニュース、ドキュメンタリー、教育番組で活躍。
主な出演作品に『リトル・チャロ』『クローズアップ現代』『ダーウィンが来た!』などがあります。
キャロリン・ミラー(Carolyn Miller)
カナダ、トロント出身。カナダとアメリカでボイストレーニングを積み、来日。ゲームやアニメ、教育番組、ドキュメンタリーなど幅広く活躍中。
他のNHK語学ラジオ講座では、『遠山顕の英会話楽習』に講師パートナーとして出演、『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』にストーリーテラーとして出演しています。
レベルは?
CEFL(ヨーロッパ言語共通参照枠)のレベル表で目安はB1~B2です。
B1:社会生活での身近な話題について理解し、自分の意思とその理由を簡単に説明できる
TOEIC550点~ 英検2級
B2:社会生活での幅広い話題について自然に会話ができ、明確かつ詳細に自分の意見が表現できる
TOEIC785点~ 英検準1級
詳しくはこちらをご参照ください→http://4skills.jp/qualification/comparison_cefr.htm
NHK語学ラジオ講座で比較すると『ラジオ英会話』のひとつ上、『遠山謙のラジオ英会話楽習』『入門ビジネス英語』と同じくらいか、少し上のレベルとなります。
レベルはあくまでも目安です。実際に聞いてみて自分に合うかどうかを確認することが一番確実です。
レベルが同じくらいの講座でも全く違う内容なので、自分の好みに合ったものを選ぶと続けやすいです。
扱うニュースは?
NHKの国際放送NHK World で放送された英語ニュースを、高校生レベルの比較的やさしい語彙や表現に書き直されたものです。
NHK ワールド JAPANの公式サイトはこちらです。→NHK WORLD-JAPAN
ニュースの内容は、社会・経済・科学・テクノロジー・文化など、様々です。
例えば9月に取り上げるニュースは、以下のタイトルとなります。
・Lesson19:Virtual trip to Hawaii
(ハワイへ仮想旅行)
・Lesson20:Tokyo hosts conference on “sports tech”
(東京で開催「スポーツテック」についての会議)
・Lesson21:The World shows its solidarity
(世界が連帯を示す)
・Lesson22:Japan to revamp banknote design
(日本が紙幣のデザインを刷新へ)
これらのニュースを2日間で1セットとして、週に1つずつニュースを取り上げています。
1ヵ月にすると4つのニュースです。
これは毎回違うニュースを読むより、負担がなく無理なく続けられる適格な量だと思います。文章の長さもちょうど良い量に仕上げられています。
番組の流れ
1日目(木曜日)
①英文ニュース全文
まずは、見出しについての解説をした後に、ニュースの英文全文を聞きます。
見出しには、文章が省略されて書かれているもので省略されている文章を読み解きます。
②段落ごとの日本語解説
文章は全て、導入(読み手の関心を高める「つかみ」の部分)の後に、具体的な情報や補足が段落になって1,2,3・・・と続き、文章が構成されています。
ハンナさんが段落ごとに英文を読み上げ、その後サム先生が詳しい日本語解説をします。
③英文ニュース全文
意味を理解したうえで、もう一度ニュースの英文を聴きます。
④Things You should Know
ニュースに出てきた表現から、英文のポイント。語法や背景知識などを取り上げ、解説します。
例えば7月9日に放送された内容では、『出だしで「対比させる」文章法』として
It is still winter in Japan, but a Japanese summer festival has just been held in South America.
(日本ではまだ冬ですが、南アメリカでは日本の夏祭りがちょうど行われたばかりです。)
※『高校生から始める「現代英語」』7月号テキストより
「冬」と「夏」のような正反対な事柄、対比(contrast、コントラスト)は、文章の出だしで読み手の関心をつかむ手法のひとつであるそうです。
このように英語以外にも文章の書き方のコツまで勉強ができます。これは「ジャパンタイムズ」で編集局長まで務めた伊藤サム先生ならではの講座内容でしょう。
⑤Sam’s Notes
英語に関するさまざまな話題を教えてもらえます。
例えば9月17日放送予定のLesson21では、『日本語の「万」と「億」が、英語にはない』と題して、大きな数字を英語ですぐに分かるコツを教えてくれます。
2日目(金曜日)
①英文ニュース全文
今週の英文ニュースを全文聴きます。
②反訳トレーニング
この講座のメインともなる反訳トレーニングとは、「反対方向から訳す」という意味で講師の伊藤サム氏が提案している学習方法です。
簡単に言うと、日本語から英語に訳すトレーニングです。
英語を勉強するときは、英文を日本語に訳して意味を理解するだけはなく、日本語の訳文を見て元の英文を言う(=反対方向に訳す)ことができるまで、繰り返し練習してください。「反訳トレーニング」はきつい練習ですが、英語の発信力を養うのに最適です。
この反訳トレーニングをすることで、長い文章も言えるようになります。
例えば
Most robots used in the buisiness world are designed to replace humans and boost productivity.
(ビジネスの世界で使われるほとんどのロボットは、人間に取って代わって生産性を高めるように設計されています。)
※『高校生から始める「現代英語」』テキスト5月号より
このような文章をまとまりごとに2つか3つに区切って、英文を言う訓練をします。最後につなげて、文章全体を英訳します。
この時、日本語訳は英文の順番通りに訳されます。長文の英語は英語の語順のまま読むクセをつけることで読むスピードを上げ、難しい文章も理解しやすくなります。
この方法はスラッシュリーディングという読み方でも知られています。
スラッシュリーディングで見るスピーチやアニメの動画サイトの記事もあります。
↓
例えば上の文章の例で言うと、
Step1
Step2
Step3
このように3つくらいに分けて英文を言う訓練をします。この時、できるだけ声に出して言うようにしましょう。
この程度の長さの文章を3つ、反訳トレーニングをします
③Let’s Try
反訳トレーニングで練習した表現を使って、日本語を英文にします。
例えば上の文章で使った “boost” を使って
彼女は持久力を上げるために毎日運動しています。
↓ ↓
【解答例】
Let’s Try の問題は2問です。
間違えてもいいので、自分で考えて英文をつくることで徐々に英語の力がついてきます。
④Discussion
サム先生とハンナさんが、講座で取り上げたニュースについてディスカッションをします。
反訳トレーニングで出てきた表現も使っているので、しっかりリスニングしてみましょう。
英文と和訳はテキストに載っています。
⑤英文ニュース全文
最後にもう一度、英文ニュースを全文聴きます。
おすすめの勉強方法
テキストをフル活用
『高校生から始める「現代英語」』をメインとして学習することに決めたら、必ずテキストは購入することをおすすめします。
NHKラジオ高校生からはじめる「現代英語」 2019年 09 月号 [雑誌] ←Amazon のリンクに飛びます。
雑誌は486円、Kindle版は410円です。電子書籍に抵抗がなければKindle版をおすすめします。
テキストには放送にないコーナーもあり学習に役立ちます。
Replace the Japan
ニュースの英文が一部、日本語になっているので日本語の部分を英文に訳しながら声に出して読んでみましょう。語彙の強化になります。基礎編と上級編の2バージョンあります。
全文反訳
放送で取り上げる反訳トレーニングは3つですが、テキストでは全文反訳に挑戦できるようになっています。
Kindle版テキストでは、青い文字の英文を確認をタッチすると英文のページへ飛ぶようになっています。
単語の革新
ニュースに出てきた単語を取り上げて解説。語源や単語のイメージを知ることができます。
ストリーミングが便利
放送はストリーミングがおすすめです。
放送時間に聴くことが難しい方も多いでしょう。NHKゴガクのWebサイトで1週間前のストリーミングを聴くことができます。
https://www2.nhk.or.jp/gogaku/learn/streaming/?spid=00001563&tcd=F0
アプリもあってとても便利です。私は主にアプリを使っています。
習慣化するために
ストリーミングおすすめ理由
反訳トレーニングの時に日本語訳文をサム先生が言った後にポーズを置いて、英文を読み上げる時間が設けられます。その後にハンナさんが英文を読み上げるのですが、ポーズの時間が早くてハンナさんの声とかぶってしまいます。(私の場合です)
早くしようと思うと焦ってしまい、英語が出てこなくなってしまうのです。
そのため私はストリーミングで聴いて、サム先生が日本語訳を言ったら一時停止して、落ち着いて英文を読み上げるようにします。
正確に言えるようになるまで何度も挑戦します。 英文がスラスラ言えるようになってから2番目の反訳トレーニングに移るようにしています。
最初は難しいと思いますが、集中して練習すれば必ずできるようになります。
まとめ
週に2日の講座ですが、かなり盛りだくさんの内容となっています。
繰り返しになりますが、特に初級から中級レベルの英語力で、もっと力を伸ばしたいと思っているなら、たくさんの講座をなんとなく聞くより、1つか2つの講座を徹底的に活用して勉強する方が効果的です。
材料は充分に揃っているので、質の良い教材を生かすも殺すも自分次第となります。
偉そうなことを書いていますが、私も完璧に実行できていません。サボる日もしょっちゅうです。
NHK講座は1クールが4月から3月までなので、9月から新たに気持ちを入れ替えて約半年間がんばりましょう!
NHKラジオ講座についてレベル別に解説した記事はこちらです。
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『ラジオ英会話』について書いている記事はこちらです。
リスニングにおすすめは『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』です。
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