まず、スウェーデン人は英語が上手とよく聞きますが、本当にそうなのでしょうか?
もちろんレベルは人によって様々です。
スウェーデン人みんなが英語が得意というわけではなく、「英語を苦手」という人もいます。
ただ、「英語が苦手」「英語が話せない」と言う日本人とスウェーデン人の間にはレベルの差があるように感じます。
例えば、日本人で「英語が苦手」と言う人の場合、知っている単語をつなげるだけだったり、本当に全く話せない人もいるでしょう。
その点、「英語が苦手」と言っているスウェーデン人でも、私から見れば「英語話せてるじゃん!」と思ってしまいます。
そこで今回は、スウェーデンと日本の英語学習に対する違いは何なのか、調査してみたので、ご参考ください。

もくじ
スウェーデン人は英語が上手?日本との3つの違い
1、言語の違い
日本の場合
日本は法令により、公用語を規定していないそうです。
日本は法令によって公用語を規定していないが、法令その他の公用文は全て日本語で記述され、各種法令において日本語を用いることが規定され、学校教育においては「国語」として学習を課されるなど、事実上、唯一の公用語となっている。
Wikipedia より引用
日本語は、主に日本国内で使われる言語で、話者数は1億3千万人以上。
世界の話者数の順位は9位。
言語系統は『日本語族』で、詳しい系統は明らかになっていません。
言語学からも『孤立した言語』とされています。
英語とは遠い言語、というより全く違う言語です。
文法・語順も違い、日本語を英語に当てはめて勉強することは困難になります。
文法・語順の他、発音、表記(漢字・平仮名・カタカナ)が違うので、日本人にとって英語習得が難しくなる要因でしょう。
日本語と英語は全く違う言語であることを理解することも学習する上で、重要な点ですね。
スウェーデンの場合
スウェーデン語話者数は、930万人ほど。
スウェーデン語と英語はゲルマン語族で、同じ系統の言語です。
その中でもスウェーデン語はインド・ヨーロッパ語族、ゲルマン語派、北ゲルマン語群、東スカンジナビア諸語に属しています。
ゲルマン人はもとはひとつのグループでしたが、それがいくつかのグループに分裂しました。
北のグループ→スウェーデン語、ノルウェー語、デンマーク語、アイスランド語など
西のグループ→英語、ドイツ語、オランダ語など
英語とスウェーデン語のグループは別になりましたが、もとは同じグループなので、発音は違うものの、共通する語彙は約1,558語あると言われています。
それでも全く違う語彙が多数あることも確かです。
もちろん英語圏の人がスウェーデン語の知識なしで、スウェーデン語を理解することはできません。
スウェーデン語と同じグループの、特にノルウェー語は、お互いに母国語で会話をしていても、ある程度は理解ができるそうです。
スウェーデン語と英語では、語順が同じな点では、学びやすいと思います。
ただ、文法や発音などの違う点も多くあり、学習なしで英語を話せるようにはなりません。
2、教育の違い
日本の場合
私の時代では、英語の授業は中学生からでした。
中学、高校で私も英語を勉強しましたが、文法中心の勉強で、授業中に自分の口から英語を発することは、ほとんどなかったような気がします。
先生の後について声に出して言うことはあったかもしれませんが、英語で会話するということは私が覚えている限りでは、なかったです。
「読み・書き」が中心で、ただ試験のために英語を勉強をしていたように思います。
日本では2020年に、小学校3年生から英語の授業が必須になりました。
小学校3、4年生から「聞く・話す」を中心に、5、6年生で「読み・書き」の勉強に入るようですね。
スウェーデンの場合
現在、スウェーデンで英語の授業が必須になるのは小学校3年生からです。
学校によっても違い、小学1年生から始まる学校もあります。
すでに1950年代には、英語が小学校の授業に取り入れられています。
授業内容は英語に限らず、講義式よりも、ペアやグループでの学習が主で、コミュニケーションを目的とした英語教育です。
教科書も使いますが、テレビや音楽、本などを使って学ぶことが多いようです。
日本とスウェーデンの英語学習時間
日本の小学校3年生から6年生までの英語授業の基本的な合計時間は210時間。
中学校での英語の授業時間は350時間なので、合計で560時間となります。
アメリカ国務省の機関FSI(The Foreign Service Institute)によるデータを参考にすると、アメリカ人のネイティブが日本語を習得する学習時間目安は2,200時間以上と言われています。(※ただし、40歳代の外交官が調査対象です)
単純に考えれば、日本人が英語を習得する時間も2,200時間ということに。
日本語と英語が全く異なる言語であるために、このような時間が必要とされています。
一方、スウェーデン語は英語と近い言語であるため、570~600時間です。
スウェーデンの小学校から中学校での英語授業の最低保証期間は480時間なので、自習時間も含めれば、義務教育の期間中にほぼ達成できそうですね。
ただ、同じ時間勉強したとしても、もちろん学習効果に個人差があるのは当然のことです。
3、生活環境の違い
日本の場合
日本では海外の映画やドラマには吹き替え版があり、民法のテレビで放送される海外映画などは、ほぼ日本語に吹き替えられていますね。
私も吹き替えが子供の頃から当たり前だったので、大人になってからも吹き替えで映画やドラマを観ることに特に違和感はありませんでした。
語学学習に目覚める前は、大人になってからも字幕を読まなくてもいいことが楽だったので、好んで吹き替えにして観ることもありました。
家庭環境や教育方針にもよりますが、私が子供の頃は英語の存在なんてほど遠い場所だったと思います。
小学生で英語学習なんて考えたこともなかったです。
周りの友達の中でも、英語の習い事をしている子は私の知る限りはいなかったと思います。
今では子供の頃から英語スクールへ通っている子は多いでしょうね。
私の場合は、英語が生活環境の中に全くと言っていいほど、取り入れられていなかったです。
スウェーデンの場合
英語圏のテレビドラマや映画はスウェーデンで人気があり、よく見られています。
英語圏の番組などは、全てスウェーデン語の字幕が基本です。吹き替えがあるのは、小さな子供用のアニメくらいでしょう。
子供の頃から英語の音楽を聴くこともよくあります。
スウェーデン人の歌手が英語で歌うことも多いです。例えばスウェーデン出身のグループと言えば、ABBAが有名ですよね。
他にも英語圏でつくられたテレビゲームは、英語のままで遊ばれています。
こう見ると、スウェーデンの方が日本よりも英語が生活の身近にあるように思います。
この差は大きいでしょう。
例えば、学生の頃考えませんでしたか?

そう思いながらも試験のために必死に覚えたことありませんか?
そして試験が終わると、たちまちに忘れてしまったこと。。。
英語もいくら小学校から始めたと言っても、本人に興味がなく、必要ないと感じてしまえば、上達は難しいでしょう。
自分のお気に入りのゲームに、学校で習った英語が出てくれば、英語が必要であることに本人も気付きますよね。
英語を学ぶことは自然な事だと理解し、勉強は苦ではなくなり、習得も早いでしょう。
英語が生活環境の身近にあることは、英語学習をする上でとても大切だと思います。
最後に
いかがでしたでしょうか。
スウェーデン語と日本語を比べたら、言語間距離が近いスウェーデン語の方が英語学習に有利であることは当然でしょう。
それだけでなく、子供の頃から自然と英語に触れる機会が多く、コミュニケーションを意識した教育を受けていれば、英語力が高いのも納得ですね。
反対に日本語は、英語との言語間距離が遠く、学習が難しい言語。
特に、私のように大人になってから英語の勉強を始めた人は、「相当な努力が必要」ということが改めて分かりました。
英語がなかなか上達せずに落ち込むのではなく、「日本人でも英語を話せるんだ!」という誇りと自信を持っていられるようにしたいですね!