新しいスキルを身につけるのには1万時間が必要だと聞いたことはありますか?
1万時間って?なんだか気が遠くなってしまいますよね。
今回おすすめするTEDのプレゼンター、ジョシュ・カウフマンが提案する4つのことを守れば、20時間である程度のレベルまで上達することができると言います。
プレゼンテーションの最後に、カウフマンさんが実際に20時間で練習したウクレレ演奏を披露。
カウフマンさんのTEDはユーモアとメリハリがあり、飽きさせません。英語は少し早い部分もありますが、聞き取りやすいと思います。
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おすすめTED『最初の20時間-あらゆることをサクッと学ぶ方法』
タイトルは “The first 20 hours — how to learn anyting” 2013年に行われたTED Talkです。今回はこのTED Talkの要約です。
もう二度と自分の時間が持てない
I am never going to have free time ever again.
2年前、妻ケルシーと私の間に娘のリラが生まれ、人生が変わりました。
親になることは実に素晴らしい経験です。一夜にして世界が変わるのです。
自分の優先順位も全て変わってしまいます。親には学ばなければならないことが山のようにあります。
ケルシーも私も家で仕事をしています。そして赤ちゃんがいて、必要なことは全てこなそうと努力しています。だから本当に、すごく忙しい生活なのです。
この素晴らしい経験に数週間入り、ひどい睡眠不足に陥りました。
そして親であれば誰もが考えるでしょう。
「もう二度と自由な時間を持てない」と。
必ずしもそうではないのですが、その時は本当にそう感じていました。
そしてすごく困惑していました。
なぜかというと、新しいことを学ぶことが、私の何よりの楽しみだったからです。
私はかなりの学習オタクなのです。学習し続け、成長し続けたいのです。
新しいスキルを習得するには何時間必要か?
How long does it take to acquire a new skill?
私は図書館や本屋へ行き、どのように学習し、どうすれば速く学べるかの研究結果を調べました。
「新しいスキルを習得するのに、どれくらい時間が必要か?」
答えは、
「10,000時間」
何か新しいことを学習して、上手にできるようになりたいと思ったら、それを達成するのに1万時間かかると言うのです。
このことを本やWebサイトでたくさん目にしました。
その時の私の気持ち:
「だめだ~!1万時間なんて時間ない」
「もう二度と新しいことを学ぶことができない」
でも本当でしょうか?
1万時間のおおまかな目安は、フルタイムの仕事5年間に相当します。
私たちは皆、新しい何かを学ぶ経験がありますが、そんなに多くの時間がかかったことはないですよね。
ではなぜ研究結果と私たちの予想と経験が一致しないのか。
「1万時間の法則」の誤解
実は「1万時間の法則」は、専門家レベルの成績の調査から出たものです。
考案者は、フロリダ州立大学のK.アンダース・エリクソン教授です。
実はこの法則はプロのスポーツ選手、世界的な音楽家、チェスの名人など、超競争の激しい分野で、成績の超優秀な人たちの調査によるものなのです。
そして2007年にマルコム・グラッドウェルという作家が『天才!成功する人々の法則』という本を書きました。その本の中心は「1万時間の法則」でした。
たくさん練習すれば、ものすごく上達して、その分野でトップになれるというものです。
この本がベストセラーとなり、「1万時間の法則」が社会に広まったのです。
そして、
「競争の激しい分野のトップになるためには1万時間かかる」
↓
「何かで専門家レベルになるためには1万時間かかる」
↓
「何かを上手になるには1万時間かかる」
↓
「何かを学ぼうと思ったら1万時間かかる」
と伝言ゲームのように変わってしまったのです。
最後の「何かを学ぼうと思ったら1万時間かかる」は、正しくありません。
実際の研究結果では、最初は少し時間がかかっても、ちょっと練習すれば、誰でもだんだん上手にできるようになるのです。
学習初期の段階では上達が非常に速い。それがある時点で ”プラトー(停滞)状態” となり、その後から徐々に上達するのが難しくなり、時間がかかるようになります。
「まぁまぁ良いレベル」になるまでの時間
それでは何か新しいことを始めて、「すごく下手な状態」から「まぁまぁ良いレベル」になるまでの最短期間はどれくらいでしょうか?
それは20時間です。
20時間というのは1日45分を約1ヵ月続ければ良いのです。時々さぼっても大丈夫。20時間なら練習を重ねるのもそこまで大変ではありません。
20時間を有効活用する4つの方法
4 simple steps rapid skill acquisition
①スキルを分解すること
Deconstruct the skill
何ができるようになりたいかを決めたら、そのスキルを小さく分解するのです。
スキルというのは、実際は大きなスキルの束で、それは様々な異なるスキルでできています。
スキルを細かく分解することで、実際に自分のしたいことを実現するのに役立つスキルがどの部分なのかが、見えるようになります。
最も重要なことから練習すれば、最低限の時間で成績を向上させられるでしょう。
②自己修正できるレベルまで学習する
Learn enough to self-correct
学習する分野についての情報源を3~5つ手に入れます。例えば本やDVDなどになりますが、この教材を先送りの言い訳にしないこと。
例えば「この本を20冊読み終えたら、プログラミングの学習を始めよう」とか。
これは先送りです。
練習しながら自己修正ができるようになるまで学習します。そうすれば間違いをした時に自分で気が付いて、やり方を変えられるようになります。
③障害になるものを排除する
Remove practice barriers
テレビ、インターネットのような、気が散って練習の妨げになるものは遠ざけます。
そうすれば練習にじっくり取り組めるようになるはずです。
④少なくとも20時間は練習する
Practice at least 20 hours
たいていのスキルには、「フラストレーション(苛立ち)の壁」があります。
「すごく下手で、それを自分でも自覚している」ことです。これは本当に苛立ちます。誰も自分がバカとは思いたくないものです。
自分がバカだと思うことは、練習の妨げになります。
何の学習であれ、最低20時間の練習をすると決めれば、「フラストレーションの壁」を乗り越えることができます。そうすれば実際に結果を出すまで、練習を続けられるのです。
ウクレレで理論を実践
私は「ウクレレを弾けるようになりたい」そう思っていました。
そこで、この理論を実証するためにウクレレを20時間練習してどのような結果になるか見てみることにしました。
まず最初の準備段階ではウクレレを手に入れました。
♪~カウフマン氏のウクレレ演奏~♪
あなたは何を学びたいですか?
What do you want to learn?
何か新しいことを学ぶ時に大きな障害になるのは、恐れという感情的なものです。
何か新しいことを学び始めた時に自分がバカみたいに感じるのは、楽しくありません。
しかし、何でもいいから20時間練習してみてください。それは問題ではなくなります。
何を学びたいですか?
あなたが熱くなるもの、楽しくなるものは何ですか?
それをやってみましょう、たったの20時間です。
Have fun!
まとめ(英語学習に4つの方法を活用)
以上、ジョシュ・カウフマン(Josh Kauhman)によるTED Talk の要約でした。
カウフマンさんの言うこの4つの方法は、もちろん英語学習にも応用できます。
①スキルを分解する
英語の技能は大きく4つに分けられています。
「聞く(listening)」「読む(reading)」「話す(speaking)」「書く(writing)」
まずは自分が英語を学ぶ上で、実際にどうなりたいのかに目を向け、それにはどのスキルが必要かを見抜きます。そしてその部分から徹底的に学びます。
②自己修正できるレベルまで学習する
参考書などを使って勉強し、自分の間違いに気づき、修正できるレベルになります。
ただし参考書を読むばかりではなく、練習をしながら読み進めていかなければなりません。
speaking のスキルを上げたいなら、英会話の練習をたくさんしましょう。もし話す相手がいなければオンライン英会話が便利です。
参考書を読んでいるだけでは話せるようにはなりません。逆に英会話だけしていても自己修正できるレベルにはなりません。
あとは③と④で言われている通り、障害になるものは遠ざけ、少なくとも20時間学習します。
1日45分、約1ヵ月と考えればできそうですよね。
そうすれば「まぁまぁのレベル」まで上達するでしょう。
このTED Talkの内容をさらに細かくまとめた内容の本がこちらです。