前回は、日本語話者にとって簡単な言語について書きましたが、今回は反対に、日本語話者にとって、難しいと言われる言語について紹介します。
言語の簡単さや難しさは、母語によって違います。
お互いの言語間距離が遠ければ遠いほど、長い学習時間が必要となり、習得も難しくなるでしょう。
そのため、一概に「この言語が世界一難しい」とは言い切れません。
それでは日本語話者にとって、難しいと言われる言語は一体どこの国の言葉でしょう。
さっそく見てみましょう!
日本語話者にとって最も難しい言語とは?
ロシア語
ロシア語はロシア連邦の公用語で、他にベラルーシやウクライナで話されています。
インド・ヨーロッパ語族のスラブ語派の東スラヴ語群に入ります。
母語話者数は世界で8番目に多い言語で、国際連合での公用語のひとつでもあります。
文字にはキリル文字を使用。まず、ロシア語学習の第一難関は、あの見慣れない文字になるでしょう。
33個の文字があり、音も単純というわけではありません。
ただし、規則的なので覚えてしまえばマスターできるはず。
そしてその先には、複雑な文法も待ち受けています。
まず、ヨーロッパの言語に多い名詞による性別はロシア語にもあり、男性・女性・中性に分けられ、性別によって語尾が変わってきます。
さらに6つの格があり、それによって名詞、代名詞、形容詞、動詞・・・など、副詞以外の品詞の全てが語尾変化されます。
ただ、語順に関してはけっこう自由です。
原則は「S+V+O」の形ですが、語尾の変化が重要な分、語順は前後しても理解されます。
「ロシア語の文字を可愛い、発音が美しい、変化がおもしろい・・!」と前向きに捉えてロシア語学習に取り組むといいでしょう。
文字 | キリル文字 русский язык |
語順 | 比較的、自由に変えられる |
特徴 | 格変化は6つ 名詞の性は3つ |
発音 | 規則的 母音字は10文字(母音は5) |
ポーランド語
ポーランド語はロシア語と同じグループのスラブ語派の西スラヴ語群です。
西スラヴ語群は他に、チェコ語やスロバキア語が入っています。
文字はローマ字を使用、32文字です。その点はロシア語よりもハードルが下がりますね。
ポーランド語独自の文字もありますが、規則的なので覚えてしまえばそれほど苦労はしません。
名詞に性を持ち、男性・女性・中性の3つ。さらに男性名詞は「人間以外の生物」「無生物」「人間」の3つに分けられます。
また、ポーランド語は格の数は、ロシア語より1つ多く、7つの格があります。
ロシア語同様に、格によって品詞の語尾が変化します。
語尾変化が厳格な分、語順が比較的に自由と言う点もロシア語と同じです。(原則は S+V+O)
文字 | ローマ字 język polski |
語順 | 比較的、自由に変えられる |
特徴 | 格は7つ 名詞の性は3つ(男性形は3種類) |
発音 | 規則的 母音字は9文字(母音は8つ) |
アラビア語
アラビア語はアラブ諸国の共通語で、文字はアラビア語を用います。
あの、へにょへにょの暗号のような文字です。
言語系統は、アフロ・アジア語族のセム語派というものです。セム語は、他にヘブライ語も入っています。
まず、アラビア語の第一難関といえば、やはり文字を覚えることとなるでしょう。
アラビア語は28文字あり、語彙として書く時は右側からつなげて書きます。
文字が単語の最初にくるか、語彙の中にくるか、最後にくるかによって、3種類の形に変化します。
全ての文字は抽象的で区別することが難しく、まず覚えるのにはひと苦労するでしょう。
アラビア語には基本的な母音は3つしかないことも特徴です。他に長母音は3つ、二重母音が2つあります。
文字には子音しか表さず、母音を表す表記もありますが、一般の文書では書かれていないことも多く、その点がさらに読むことを困難とします。
また、語順は「V+S+O(動詞+主語+目的語)」となり、日本語とも英語とも異なる語順です。
また、アラビア語の格は3つあって、語末の母音で表します。
名詞は、男性名詞と女性名詞の2種類です。
日本語話者だけでなく、英語圏の人にとっても全く別の言語となるので、難しい言語となっています。
文字 | アラビア文字 اللغة العربية |
語順 | V+S+O |
特徴 | 格は3種類 名詞の性は2つ |
発音 | 短母音は3つ |
ヒンディー語
ヒンディー語はインドの北部で話されている言語で、インドの公用語です。
言語系統は、インド・ヨーロッパ語族のインド・イラン族、インド語派になります。
文字はブラーフミー系文字のデーヴァナーガリー文字を使います。サンスクリット語にも使用される文字です。
ヒンディー語は短母音が5つと長母音が5つ、合わせて10個の母音があり、基本の文字のまわりに記号をつけて母音を表します。
発音は無声音と有声音それぞれに無気音と有気音、それに加え鼻子音があり、それぞれの音を聞き分けることは難しく、これには訓練が必要になるでしょう。
発音は複雑ですが、規則的で文字にも表記がされるので、覚えてしまえば読みやすくはなります。
語順は、「S+O+V」 (主語+目的語+動詞)の型で、日本語と同じです。
文法の点で言えば、主語を省略できるなど、日本語と共通点している部分が多く習得はしやすいでしょう。
違いの部分を見てみると、名詞は男性形と女性形の他、単数形と複数形の区別もあります。
これらの条件によって動詞や形容詞の変化が起こり、また、主語によっての人称変化もある点も、日本語とは異なるので、気を付けなければなりません。
全ての点から見ると、ヒンディー語は難しさと学びやすさが融合した言語です。
文字 | デーヴァナーガリー文字 हिंदी, हिन्दी |
語順 | S+O+V |
特徴 | 名詞の性は2つ 語尾変化が多い |
発音 | 母音は合計10 |
最後に
いかがでしたでしょうか。
日本語と違う部分が多ければ多いほど、難しくなりますよね。
でも難しいからこそ、理解できた時の嬉しさ、楽しみは大きくなるでしょう。
どんな言語を学習するにしても、楽しんで続けることを忘れないようにしたいですね。