イタリア語と言えば、みなさんはどんなイメージを持ちますか?
「ロマンチック」「ファッショナブル」「華麗」「オペラ」「パスタ」「ピッツァ」・・・などでしょうか?
私のイタリア語のイメージは、「テンション高めな言葉」でした。
というのは、フランス語の勉強を始めた頃に毎朝NHKのラジオ講座を聴くのが日課だったのですが、フランス語の講座のあとがイタリア語だったので、そのままの流れでイタリア語講座も聞いていました。
その時の講師が、明るくてテンション高めな人だったので、それがそのままイタリア語のイメージとなり、「テンション高い言葉だなー」という印象になっていたのです。
私はテンション高いタイプではないので、「イタリア語ちょっと苦手」と思っていました。
イタリア語の勉強を始めたのは、実はつい最近のことで、今から半年前くらいです。
Netflixでイタリア映画を何本か観たことがきっかけです。
「あれっ、イタリア語ってなんかカッコよくない?」と気付き、それから印象は一気に変わりました。
今私が一番ハマっている言語は正にイタリア語です。
まだ勉強を始めて間もないので偉そうなことは言えないのですが、今回はイタリア語の特徴をざっくりと書いていきます。

イタリア語ってどんな言語?特徴は?【発音や文法についてざっくり書きます】
イタリア語の基本情報
イタリア語はインド・ヨーロッパ語族に属し、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、ルーマニア語などと同様に、ラテン語から派生したロマンス語です。
話者数は6千万人以上で、主にイタリア、サンマリノ共和国で公用語として話されています。その他にスイスやスロベニアなどの一部でイタリア語を使用する人たちがいます。
前に書いたようにイタリア語はロマンス語のひとつなので、ロマンス語の仲間と共通点が多いです。
特にスペイン語とは語彙が似たものも多く、音的なことで言えば一番近いのではないでしょうか。
興味のあるロマンス語をまずはひとつ習得してしまえば、その後に勉強するロマンス語は習得するのがとても楽になりますよ。
イタリア語の発音
イタリアの首都はどこでしょう?
そう、ローマです。イタリア語はローマ字の本家本元。
私たちが知っているローマ字を素直に読めるので、発音しやすい言語と言えるでしょう。
イタリア語の母音
アルファベットは英語と同じく26文字、母音は「a,i,u,e,o」です。
日本語を話す時よりも大きく口を開けてはっきりと発音し、歌うように話すことを意識するといいでしょう。
特に日本語は「母音の無声化」と言って、母音をはっきり発音しないことがよくあります。
例えば「そうです」の「す」は声帯の振動がなく、ローマ字にすると “soodes” のようになっています。
他には「好き」「草」「月」「下」などもそうです。
一方、イタリア語の場合、母音はいつもはっきりと発音する言語です。
また、イタリア語は私たちが知っている基本のローマ字読みで読めると書きましたが、いくつか例外もあります。
発音の例外
カ行 | ca (カ) | chi (キ) | cu (ク) | che (ケ) | co (コ) |
チャ行 | cia (チャ) | ci (チ) | ciu (チュ) | ce/cie (チェ) | cio (チョ) |
ガ行 | ga (ガ) | ghi (ギ) | gu (グ) | ghe (ゲ) | go (ゴ) |
ジャ行 | gia (ジャ) | gi (ジ) | giu (ジュ) | ge/gie (ジェ) | gio (ジョ) |
ザ・ツァ行 | za (ザ・ツァ) | zi (ズィ・ツィ) | zu (ズ・ツ) | ze (ゼ・ツェ) | zo (ゾ・ツォ) |
サ・ザ行 | sa (サ・ザ) | si (スィ・ズィ) | su (ス・ズ) | se (セ・ゼ) | so (ソ・ゾ) |
シャ行 | scia (シャ) | sci (シ) | sciu (シュ) | sce/scie (シェ) | scio (ショ) |
リャ行 | glia (リャ) | gli (リ) | gliu (リュ) | glie (リェ) | glio (リョ) |
ニャ行 | gna (ニャ) | gni (二) | gnu (ニュ) | gne (ニェ) | gno (ニョ) |
ヤ行 | ia (ヤ) | ie (イエ) | iu (ユ) | __ | io (ヨ) |
ワ行 | ua (ワ) | ui (ウィ) | __ | ue (ウェ) | uo (ウォ) |
クワ行 | qua (クワ) | qui (クイ) | __ | que (クエ) | quo (クウォ) |
イタリア語の発音の例外については、また他の記事でまとめたいと思います。
イタリア語のアクセント
イタリア語のアクセントはとても重要であり、メロディー的な話し方であることがイタリア語の特徴のひとつです。
“Italia”(イタリア)は、”ta” の音節にアクセントがきて、「イターリア」と伸ばして発音します。
イタリア語は最後から2つ目の音節にアクセントがくる言葉が多いです。
最後の母音にアクセントがくる場合は、文字にする時にアクセント記号がつきます。
al-ber-go【アルベルゴ】(ホテル)
sta-zio-ne【スタッツィオーネ】(駅)
mu-se-o【ムゼーオ】(美術館)
su-per-mer-ca-to【スペルメルカート】(スーパーマーケット)
ban-ca【バンカ】(駅)
ca-me-ra【カーメラ】(部屋)
au-to-bus【アウトブス】(バス)
me-di-co【メーディコ】
città【チッター】(町)
caffè【カッフェー】
tè【テー】(紅茶)
たくさんイタリア語を聞いて声に出して真似していれば、すぐにマスターできますよ。
新しい単語を覚える時は、音を聞いて覚えるとよいでしょう。
イタリア語の名詞
イタリア語は他のインド=ヨーロッパ語族の言語の多くがそうであうように、名詞は全て男性名詞と女性名詞に分かれています。
男性名詞か女性名詞かによって、冠詞と形容詞の形が変わってきます。
イタリア語はほとんどの場合、語尾が 「–o」 で終わる単語は「男性名詞」、語尾が 「–a」 なら「女性名詞」です。
ただ、例外もあるので注意は必要です。
語尾が 「–o」 なのに「女性名詞」だったり、語尾が 「–a」 でも「男性名詞」のケースもあります。
また、語尾は 「–o」 でも 「–a」 でもなく、「–e」 で終わる語彙もあります。
新しい単語を覚える時は、冠詞とセットで覚えるようにするといいでしょう。
不定冠詞は英語の “a” “an”、不定冠詞は英語の “the” に相当するものです。
男性 | 女性 | 複数(男/女) | |
不定冠詞 | un・uno | una・un’ | — |
定冠詞 | il・lo・l’ | la・l’ | i・gli/le |
もともとの性別をもっている言葉は、そのままの性別で分けられます。
un ragazzo(少年) una ragazza(少女)
un padre(父) una madre(母)
男性形の名詞
libro(本) museo(美術館) supermercato(スーパーマーケット) problema(問題) dolce(お菓子) pane(パン)
男性名詞の前につく基本的な不定冠詞は “un” ですが、”s+子音” “z” “gn” “ps” で始まる場合は、不定冠詞が “uno” 、定冠詞は “lo” となります。
また、定冠詞 “lo” が付く時、男性名詞の単数形で、最初の文字が母音で始まるときは、”l’~” となり、 “o” が省略されます。
uno studente / lo studente(学生) uno specchio / lo specchino(鏡) un albero / l’albero(木)
女性形の名詞
chiesa(教会) farmacia(薬局) camera(部屋) mano(手) foto(写真)stazione(駅)chiave(鍵)
女性名詞の不定冠詞は “una“、冠詞は “la” ですが、母音で始まる語彙の場合は、”un’~” “l”~”というふうに “a” を省略して書きます。
複数形は “le” で、省略はされません。
un’amica / l’amica(女友達) un’arancia / l’arancia(オレンジ) un’isola / l’isola(島)
複数形のつくりかた
英語をはじめ、フランス語、スペイン語などは、複数形を表すとき、”s” をつければいいのですが、イタリア語は少し違います。
男性名詞で語尾が “o” の名詞は、複数形は語尾を “i” に、性に関係なく語尾が “e” の場合は、複数形の語尾を “i” に。
女性名詞で語尾が “a” の名詞では、複数形では語尾を “e” に変えます。
語尾が “o” の名詞 → 語尾を “i”
libro → libri(本)
museo → musei(美術館)
語尾が “e” の名詞 → 語尾を “i”
chiave → chiavi(鍵)
dolce → dolci(お菓子)
語尾が “a” の名詞 → 語尾を “e”
farmacia → farmacie(薬局)
chiesa → chiese(教会)
【例外1 語尾が “io” の名詞 → 語尾を “i”】
negozio → negozi(店)
ufficio → uffici(オフィス)
【例外2 語尾が “go” “ga” “co” “ca” →語尾の前に “h” を入れる】
lbergo → alberghi(ホテル)
banca → banche(銀行)
※ “amico(友達)は例外で “amici” になります。
複数形の時の定冠詞
男性名詞の複数形
定冠詞は英語の “the” にあたるもので、イタリア語の場合、名詞の性数によって冠詞も変化します。
男性名詞の複数形で、ほとんどの子音から始まる名詞には基本的に “i” がつき、
“s+子音” “z” “gn” “ps” で始まるもの、また母音から始まる男性複数名詞は定冠詞は “gli” となります。
il libro(その本)→ i libri
lo studente(その生徒)→ gli studenti(それらの学生)
l’albero(その木)→ gli alberi(それらの木)
女性名詞の複数形
女性名詞の複数形は、定冠詞として “le” がつきます。
la chiesa(その教会)→ le chiese(それらの教会)
la chiave(その鍵)→ le chiavi(それらの鍵)
l’isola(その島)→ le isole(それらの島)
イタリア語の語順
イタリア語の語順は基本的に「S+V+O」(主語+動詞+目的語)の順ですが、英語ほど語順に厳しくなくて比較的に自由な言語です。
また、イタリア語は主語を省略することが可能です。
動詞は、主語によって形が変化します。これを動詞の活用と呼びます。
語尾が規則的に変わるものがほとんどですが、全く違う形に変わる不規則動詞もあります。
主語がなくても、この動詞の活用で誰のことを言っているのか判断できるので、動詞の活用を覚えることは必要不可欠です。
comprare (買う) | dormire (眠る) | essere (~だ、である) | |
私 (io) | compro | dormo | sono |
君 (tu) | compri | dormi | sei |
彼 (lui) 彼女 (lei) あなた (Lei) | compra | dorme | è |
私たち (noi) | compriamo | dormiamo | siamo |
君たち あなたたち (voi) | comprate | dormite | siete |
彼ら 彼女たち (loro) | comprano | dormono | sono |
※「君」は親しい人への呼び方で、「あなた」は敬称でていねいな言い方で区別します。
Sono giapponese.(私は日本人です。)
このように主語を省略して言えます。
もちろん主語を省略しないで “Io sono giapponese.” とも言えます。
形容詞の位置
イタリア語は基本的に、名詞を修飾する形容詞がその名詞の後ろにきます。
これは英語や日本語とは逆ですね。
また、形容詞も修飾する名詞に性・数を一致させます。
男性名詞で語尾が “o” の場合は語尾を “i” に、 女性名詞で語尾が “a” の場合は語尾を “e” に。
語尾が “e” で終わる形容詞の場合は、名詞の性に関わらず、複数形は “i” に変わります。
un pomodoro rosso(ひとつの赤いトマト) una macchina rossa(赤い車) un dolce giapponese(日本のお菓子) una gonna verde(緑のスカート)
これを複数形にすると、
pomodori rossi(赤いトマト) macchine rosse(赤い車) un dolci giapponesi(日本のお菓子) gonne verdi(緑のスカート)
名詞と形容詞で語尾がかならず一致するわけではないので、注意が必要です。
また、形容詞は修飾する名詞の後ろにくると書きましたが、例外もあって修飾する名詞の前にくる形容詞もあります。
形容詞によって名詞の前にある時と、名詞の後ろにある時で、意味が変わってくるなんてこともあり、なかなかやっかいです。
una bella donna(美しい女性) un piccolo pomodoro(小さなトマト) un grande uomo(偉大な人)
“un grande uomo” は「偉大な人」の意味ですが、”un uomo grande” と言えば「大柄な人」になります。
イタリア語の基本の言葉
おはよう:Buongiorno.
こんにちは:Buonasera.
こんばんは/おやすみ:Buonanotte.
やぁ!/こんにちは/じゃあね!(カジュアル):Ciao!
はじめまして:Piacere
さようなら:Arrivederci.
ありがとう/ありがとうございます:Grazie. / Grazie mille. / Grazie tante.
イタリア語の教材にしたいオペラ作品
オペラはイタリアが本場です。
『ドン・ジョバンニ』『フィガロの結婚』『セビリアの理髪師』『椿姫』『蝶々夫人』『アイーダ』『カルメン』…など、オペラに詳しくない人でも、タイトルくらいは知っているのではないでしょうか。
これらの作品は全てイタリア語で書かれています。
クラシック界の天才モーツァルトは、ウィーン出身で母国語はドイツ語になるのですが、イタリア語で書かれたオペラ作品をたくさん残しています。
特に有名なのは『フィガロの結婚』『ドン・ジョバンニ』でしょう。
イタリア語は音楽的な要素を持ち合わせた言語なので、言語と共に美しいオペラが楽しめます。
今までオペラに興味がなかった人も、イタリア語の勉強を始めたことをきっかけに、オペラについて知る良い機会になるかもしれませんね。
オペラは敷居が高いイメージもありますが、物語から入っていくと意外とおもしろかったりして、楽しめると思います。
最後に
いかがでしたでしょうか。
ざっくりとイタリア語について書いていきました。
英語に比べて発音はしやすいけど、ちょっとややこしい箇所もありましたね。
私もまだまだ勉強が必要で、これからもイタリア語とは長い付き合いになりそうです。