
英語の本を読むことで、知っている英単語や表現を増やし、読む力を養うことができます。
そして何と言っても、英語で本を読んだという達成感や満足感が得られ、自信をつけられます。
ただ、英語の本を読むことに苦手意識を持っている人も多いかもしれませんね。
今回は、英語学習における多読、英語多読のメリットやコツ、英語多読におすすめの本をご紹介します。
もくじ
英語の多読とは
英語学習における「多読」とは、辞書を使わずに大量の英語の文章を読むことを指します。
とにかく「たくさん読む」ことにフォーカスしていて、難しい単語や文法を完璧に理解することよりも、「英語に慣れる」ことを目的としています。
多読は、英語初心者にとって非常に効果的な学習法としても注目されているのです。
そして学習者からも「英語学習=苦しくて辛い」ではなく、楽しく自然に英語を伸ばせる方法として、多くの支持を集めています。
英語多読のメリット

英語多読には、英語力をバランスよく伸ばすさまざまなメリットがあります。代表的なメリットを5つ紹介します。
1. 語彙力・表現力が自然と身につく
多読をしていると、同じ単語や表現に何度も出会うようになります。
そのたびに文脈とセットで覚えていくため、テスト勉強などで無理に覚える単語よりも記憶に残りやすいです。
物語の中で何度か目にすることで、意味を自然と理解できるようになり、さらに実際に使われている形で覚えるので、実用的な英語が身につきます。
2. 英語に対する抵抗感がなくなる
英語の本は「難しそう」と敬遠する人も、多読を続けるうちに「意外と読める」と思えるようになります。
自分のレベルに合った本を選ぶことで、読み終えた後の達成感が得られ、「もっと読みたい」と前向きな気持ちになるはずです。
慣れてくれば、英語の文章を読むことが「特別」なことではなく、日常の一部となるでしょう。
3. リーディングスピードが上がる
多読を続けていると、英語の語順で理解する力が期待できます。
英文を日本語に訳さずに、そのまま意味を取る「英語脳」を育てるためにとても重要です。
また、辞書を使わずに読み進めることで、自然とスピードが上がり、読解力が向上します。
4. 文法の知識が実践で使えるようになる
教科書で覚えた文法も、実際の文中で何度も出てくることで、ようやく本当の意味を理解できるようになります。
仮定法や現在完了など、最初はピンとこなかった文法も、物語の中で自然に登場することで「こういう時に使うんだ」と感覚的に理解ができるようになります。
5. 英語学習のモチベーションが保てる
多読の一番の魅力は「楽しい」ことです。英語を勉強しているというよりは、好きな本を楽しんで読んでいる感覚なので、無理なく毎日の習慣にできます。
自分の興味のあるジャンル(ミステリー、恋愛、冒険、SFなど)を選べば、学習というより趣味のような感覚で続けられ、英語への意識も自然に高まるでしょう。
多読を始める前に知っておきたいポイント

英語の多読を始める前にいくつかのコツや心構えを知っておくことで、よりスムーズに楽しく続けることができます。
ここでは、最初に意識しておきたい5つのポイントについて解説します。
1. 辞書はなるべく使わない
多読のいちばんの特徴は「辞書を使わないで読む」こと。最初は少し不安かもしれませんが、英語を文脈から理解する力を育てるための大切なステップです。
分からない単語に出会ったら、立ち止まって調べるのではなく、前後の文脈から「こういう意味かな?」と予測して読み進めてみましょう。
意味がわからなくても、その単語が物語の本筋に大きな影響を与えない場合、思いっきりスルーしてしまって問題ありません。
2. 完璧を目指さない
多読では、すべての文章を完璧に理解する必要はありません。「分からないことがあっても、とりあえず先に進む」というスタンスで読み進めてください。
「なんとなく分かる」「大まかな流れがつかめる」くらいで大丈夫です。最初から全部を理解しようとすると、読むのがストレスとなってしまい、続きません。
完璧よりも継続が大事です。「わからなければ飛ばす」を意識しましょう。
3. 自分に合ったレベルを選ぶ
多読で重要なポイントは、自分に合ったレベルの本を選ぶことです。
難しすぎる本を選んでしまうと挫折しやすくなり、逆に簡単すぎても物足りなさを感じてしまいます。
目安としては「1ページに知らない単語が3語程度」「辞書なしでも話の流れがつかめる」くらいの本がおすすめです。
4. 毎日少しずつ読む習慣をつける
一気にたくさん読もうとするのではなく、毎日少しずつでも読む習慣をつけることが上達への近道です。
最初は1日10分でもOK。通勤時間や寝る前など、自分の生活に合ったタイミングで読むようにすると、無理なく続けられます。
英語は「慣れ」が肝心。毎日触れることで、脳が英語に慣れ、だんだん読むのが楽になってきます。
5. 目的を明確にする
多読を始める前に「なぜ多読をするのか?」という目的をはっきりさせておくことも大切です。
「英語の苦手意識をなくしたい」「TOEICのリーディングスコアを伸ばしたい」「洋書を楽しめるようになりたい」など、自分の中で目的を明確にしておくと、モチベーションの維持にもつながります。
目的によって選ぶ本や読むスタイルも変わってくるので、あらかじめ考えておくのがおすすめです。
英語多読におすすめの本・シリーズ7選!
ここでは、英語初心者でも楽しく読める多読にぴったりのおすすめ本・シリーズを10選紹介します。
それぞれのレベルや特徴を踏まえて、自分に合った1冊を見つけてくださいね。
1. OXFORD Bookworms Library(オックスフォード・ブックワームズ・ライブラリー)
レベル:超初心者〜中級
特徴
英語学習者向けに語彙と文法が厳選して書かれた世界的に有名なシリーズ。7段階にレベル分けされていて、初級から上級まで幅広く対応しています。
おすすめポイント
・名作からオリジナル作品までジャンルが豊富
・各レベルで語数が決まっているので、達成が得やすい
・リスニング用の音声付きファイルもある
代表作品
・The Wizard of Oz(レベル1)

Oxford Bookworms Library: Level 1: : The Wizard of Oz
・Alice’s Adventures in Wonderland(レベル2)

Alice’s Adventures in Wonderland (Oxford Bookworms Library)
・Anne Frank(レベル3)

Oxford Bookworms 3e Fact File 3 Anne Frank (Oxford Bookworms Library)
2. Penguin Readers(ペンギン・リーダーズ)
レベル:初心者〜中上級
特徴
イギリスの出版社が提供する英語学習者向けリーダー。映画やノンフィクション、原作ベースの作品など幅広いテーマが魅力です。
おすすめポイント
・6段階のレベル設定で無理なく着実にステップアップできる
・イラスト付きのものも多く、理解を助けてくれる役割がある
・映画化された話もあって、視覚とリンクして理解しやすい
代表タイトル
・The Adventures of Tom Sawyer(レベル1)

Penguin Readers: Level 1 THE ADVENTURES OF TOM SAWYER (Penguin Readers, Level 1)
・Three Short Stories of Sherlock Holmes(レベル2)

Penguin Readers: Level 2 Three Short Stories of Sherlock Holmes (Penguin Readers, Level 2)
・Wonder(レベル3)

Penguin Readers Level 3: Wonder (ELT Graded Reader): Abridged Edition
3. Magic Tree House(マジック・ツリー・ハウス)
レベル:初級〜中級
特徴
兄妹が魔法の木からさまざまな時代へ冒険に出かけるストーリー。ファンタジーと歴史を組み合わせたシリーズです。
おすすめポイント
・簡単な文法と繰り返し表現が多く、読みやすい
・ストーリーに引き込まれやすく、英語で自然に楽しめる
・子供向けでも大人も学べる内容
代表タイトル
・Dinosaurs Before Dark(シリーズ第1巻)

Dinosaurs Before Dark (Magic Tree House Book 1) (English Edition)
4. The Cat in the Hat(キャット・イン・ザ・ハット)
レベル:超初級〜初級
特徴
アメリカのDr.Seuss(ドクター・スース)によるリズミカルな絵本。単語数は少ないものの、発音や韻を楽しめる作品です。
おすすめポイント
・音読に最適。英語のリズムを養える
・幼児向けだけど、大人の英語学習にも効果的
・フォニックス(音と文字のつながり)の学習にも活用できる

Oh Say Can You Say Di-no-saur? All About Dinosaurs (The Cat in the Hat’s Learning Library)
5. The Little Prince(星の王子さま)やさしい英語版
レベル:初級〜中級(簡略版)、 中上級(原書)
特徴
フランスが原書の世界的な名作『星の王子さま』の英語版。初心者向けのやさしい英語で書き直されたバージョンは、多読初心者にも安心です。
おすすめポイント
・短くて美しい文章で、心に残る表現に出会える
・文法も比較的シンプルで読みやすい
・内容が哲学的で、大人の読書としても十分に楽しめる

The Little Prince 星の王子さま ラダーシリーズ
6. Curious George(おさるのジョージ)シリーズ
レベル:超初心者〜初級
特徴
おさるのジョージがさまざまな冒険をする、絵本形式の英語シリーズ。語数が少なく、絵から内容を理解しやすいです。
おすすめのポイント
・子ども向けながら、しっかりとした英語表現が使われている
・1冊5〜10分で読み終わるので、続けやすい
・英語が苦手な方でも気軽に始められる

Curious George (English Edition)
7. Short Stories in English for Beginners(初心者のための英語短編集)
レベル:初級〜中級
特徴
英語学習者向けに書かれた、短くて読みやすいストーリー集。1話5〜10分で読める内容なので、続けやすいこともポイントです。
おすすめのポイント
・各章ごとに語彙リストや理解度チェック付き
・物語形式なので楽しみながら学べる
・シリーズで中級・上級者向けもあり、成長に合わせてステップアップできる

Short Stories in English for Intermediate Learners
多読を継続させるコツとモチベーションの保ち方

英語多読は「継続」することが何よりも大切です。しかし英語に慣れていないと、挫折してしまったり途中で飽きてしまうこともあるかもしれません。
ここでは、多読を無理なく続けるための5つのコツと、モチベーションを維持する方法をご紹介します。
1. 「読んだ数」や「語数」を記録する
目に見える形で成長を実感すると、モチベーション維持に大きな効果があります。
読んだ本のタイトルや語数、読了日などを簡単でいいのでメモしておくと、後で見直した時に「これだけ読んだんだ!」と達成感が得られ自信になります。
冊数や語数で自分の進歩が分かることで、もっと読みたくなる気持ちが湧いてくるでしょう
2. 好きなジャンル・テーマを選ぶ
自分が興味のあるテーマを選ぶと、読書が「学習」ではばく「楽しみ」に変わります。
たとえば、以下のように自分の好みに合わせて選ぶといいでしょう。
・ミステリー好き→Sherlock Holmesシリーズ
・恋愛小説が好き→Jane Austen’s Emma(やさしい英語版)
・動物や自然が好き→National Geographic Readers
自分の好きなジャンルなら、続けることがそれほど難しいことになりません。
3. 難しいと感じたらすぐに本を変えてOK
「難しい」と感じたら、無理に読み続ける必要はありません。
多読の目的は「理解しながら楽しく読む」こと。内容が難しすぎて理解できなかったり、読むのが苦痛になってきたら、その本は1度手放して、もっと簡単なものに切り替えてOKです。
「今の自分に合っていないだけ」と、気軽な気持ちで選びなおすことが継続するコツです。
4. 英語を読む時間を「習慣化」する
勉強というより「日常の中の自然な行動」として英語を読む時間を確保するのがおすすめです。
たとえば、
・朝のコーヒータイムに10分読む
・通勤時間にスマホやタブレットで読む
・寝る前にベッドで1章だけ読む
このように生活の中に組み込むことで、習慣化しやすくなり、続けるのも楽になります。
5. 多読仲間をつくる
ひとりだとモチベーションが下がりがちですが、同じように多読している仲間がいると刺激になります。
・SNSで「#多読」のハッシュタグをつけて進捗をシェア
・オンラインの多読コミュニティや読書会に参加する
・家族や友人と一緒に本を読む
他の人と、どこまで読んだかや感想を共有することで、学習がもっと楽しく前向きなものになります。
モチベーションが下がったとき
どんな学習でも「停滞期」や「やる気が出ない時期」はつきものです。そんな時は以下のように気分をリフレッシュしてみましょう。
・好きな映画の原作を読む
・音声付きのリーダーを聞きながら読む(リスニング多読)
・英語絵本など、思いっきり簡単な本に戻ってみる
「やらなきゃ」という気持ちより、「また読んでみようかな」と思える環境づくりが大切です。
まとめ
多読は、シンプルながらも非常に効果的な英語学習方法です。
その効果を最大限に引き出すためには「続けること」「楽しむこと」が何よりも大切。完璧を求めず、自分のペースで英語の世界に触れ続けていれば、いつの間にか英語が身近なものになっているはずです。
まずは、自分のレベルや興味に合った1冊を選んで、無理なく読み進めてみてくださいね。